1988年に発売された笠原弘子さんのアルバム「スローガラスの輝き」、かれこれ40年近く聴き続けています。
なんど聴いても飽きない…
笠原弘子さんの歌声、曲、歌詞とどれをとっても最高なのです。
はい、名盤であることは疑いようがないのです…異論は認めません。
スローガラスの輝き
機動警察パトレイバーの初期OVA(アーリーデイズ)の主題歌である「未来派Lovers」を含む全11曲のアルバムです。
『笠原弘子 スローガラスの輝き』
1.夢上の楼閣
2.未来派Lovers
3.「ハードボイルドってなあに?」
4.蜂蜜池のミステリー
5.Teabreakをふたりで
6.INTERFACE
7.Believe yourself Again
(リミックス・ヴァージョン)
8.スローガラスの輝き
9.約束(ぷろみす)
10.Holy Lovers’ Holy Day
11.いつかきみと・・・
スローガラスの輝きへのこだわり
オーディオ環境を変更するたびに必ず聴いてきたCDです。
つまり、ゆうぱぱ的リファレンスディスクなわけです。
この記事はゆうぱぱの旧ブログである「冷静とオタクのあいだ」に掲載しているものを再編集したものをベースとしています。
ことの発端は2015年10月に、SONY製ブルーレイプレーヤー「BDP-S6200」の性能評価をするために「スローガラスの輝き」を再生したときです。
音声がノイズまみれで聞けたものではありませんでした。
CDを確認してみると…

光を当てないと見えないので写真だと一部にしか斑点が見えていませんが実際は全面的にこんな感じです。
最初は汚れかと思ってCDを洗ってみましたが改善できず。
(斑点がある状態でも当時所有していたパイオニア製のCDプレーヤー「PD-HL1」では問題なく再生できていました。)
「こんなこともあろうかと…」

もう1枚用意しておきました。
購入したのは10年以上まえですが、値札をみると250円ってかいてありますね。
安すぎでしょ…そのせいでスルー出来なくて買ったんだと思いますが
では2枚の比較をします。
発売元の社名が違っています。
「ワーナー・パイオニア株式会社」となっている方が古いもので、僕が元々持っていたものです。
価格が3200円となっているので消費税導入前に生産されたもののようです。

「スローガラスの輝き」が発売されたのが1988年12月21日で消費税導入が1989年4月1日なので、ワーナー・パイオニア株式会社版は初期に生産されたものだと分かります。
方や株式会社ワーナーミュージック・ジャパン版ですが、社名変更されたのが1991年(wikiによると)なのでそれ以降の生産分となります。
さて2枚のCDにデータ的な違いはあるのでしょうか?
新旧をリッピングして比較してみることにしました。
まずは「Exact Audio Copy」を使って両CDをリッピングします。
形式はWAVE(.WAV)として曲分割せず1つのファイルになるように保存することとします。

ノイズが入る方もPCでは問題無く読み取れるようです。
2枚ともエラーなくリッピングできました。

ファイルサイズはどちらも463MBになりました。
次は2つのWAVEファイルの比較をします。
ファイルの比較ツールである「WaveCompare」を使用します。
両ファイルをセットして「比較」ボタンをクリック!

完全一致しました。
ただし、PCに取り込んだデータで一致したとしても、CDそのものを再生した際に同じ音が出ているとは限りません。
CDはデジタルメディアではあるもののアナログ的要素が多いためであります。
この辺りは理解しがたいものでもありますので深くは追及しません。
なのでリファレンスディスクとして使用してきたCDを同タイトルだからと言って変更してしまうのは…という葛藤も無くはなかったです。
なんにせよ2枚買っておいてよかった。
スローガラスの輝き リマスター版
「スローガラスの輝き」に新しい仲間が加わりました。
2007年に日本コロムビアから発売されたデジタルリマスター版です。
一番右のものがリマスター版です。
ジャケットは同じ画像が使われています。

裏面は…
右がリマスター版です。
画像が差し替えられています。

内部です。
下がリマスター版です。
ブックレットから山本貴嗣さん,ゆうきまさみさん,芦田豊雄さんのイラストそれぞれがきれいさっぱり消えてます。
権利の問題でしょうかね…

まあ、外見の比較はここまでとして、肝心の音について違いはあるのか?
新旧聴き比べます。
が、正直良く分からない...
CDの入れ替え以外は何も触らず聴き比べをしています。
違うような違わないような...
CDを入れ替えている間に前の音を忘れてしまいます。
スピーカーケーブルを入れ替えたり、スピーカーの向きの調整もしているため音の記憶ができてないのもあると思います。
やっぱり長いこと同じ状態で聴き続けて音が体に染みついてから、新しいものを聴かないと変化が分からないようです。
逆にスピーカーケーブルの交換のように、すべてのソースに影響が出るものは分かりやすいんだなとも思いました。
その後、CDを入れ替えなくても新旧交互に再生出来る方法を思いついたので実行しました。
BDプレーヤーのBDP-S6200はUSBメモリからの再生もできます。
そこで新旧それぞれFLACに変換してUSBメモリから再生することにしました。
これはBDP-S6200でFLACを再生しているときの操作画面です。
リマスター版のファイルにはファイル名の最後に _R を付けています。
こうすることで同じ曲が連続して並ぶので聴き比べには都合がよいです。

これで聴き比べるとなんとなく違うということは分かりました。
リマスター版の方が音がはっきりくっきりしているような。
ただ、違いが分かるもののどちらが良いのかがいまいち分かりません。
むしろ、リマスター版って「本当に音が良くなってるの?」という疑問が浮かんでしまいました。
結局のところ、違いを探そうと必死で聴いたたんだけど「木を見て森を見ず」じゃないけど、「音を聞いて音楽を聴かず」じゃ意味が無いなと。
違いが分からないなら気にせず、音楽を聴けばいいんだなという結論で…
終わるつもりでした。
が、ひょんなことから疑問がさらに強くなりました。
パソコンで作業をしているときになんとなく聴いてみようと思いイヤホンを付けて再生してみました。
せっかくなので聴き比べもしてみるかと。
で、旧版を聴いてからリマスター版に切り替えたら「うるさい」って…なんか音が大きいような。
やっぱり違うんだよなと…
(リマスターされてるんだから当たり前なんだろうけど)
そこで「未来派LOVERS」を代表として調べてみることにしました。
調べ方はWAVEファイル化して、SoundEngineで波形を表示して見比べる言うものです。
旧版の波形です。

リマスター版の波形です。

どちらも冒頭の同じ部分です。
リマスター版は明らかに音圧(音量)が上がっています。
これだと、適正な音質評価は難しくなってしまいます。
人間は音量が大きい方が良い音と感じてしまうように出来ているからです。
同じ音量で聞こえるように調整してから音質評価をしなければなりません。
ただ、これくらいの差だとスピーカーで聴いているときには音量の違いは判別できなかったようです。(僕の耳では)
リマスター版はドンシャリ傾向な気がしなくもはなかったのですが。
いまいち腑に落ちないのでググってみたところ。
一般的にデジタルリマスタリングを行う際は音圧を上げるそうです。
時代のニーズに合わせてということのようです。
すごく古い録音の物をリマスターする場合は恩恵の方が大きくなるのかも知れませんが、「スローガラスの輝き」に限ってはオリジナルの音源自体が悪いものではなかったため影響が分かりずらいのではないかと感じます。
で、SoundEngineの波形なんですが、リマスター版は音圧上げ過ぎで振り切っちゃってるように見えます。
「音質に悪影響はないのか?」、そもそもオリジナル音源の音がすごく良い(と僕は思います)のに「リマスターする必要はあったのか?」と疑問になります。
ネットを調べると、好みの問題はあるとは思いますが、音圧上げ(コンプレッサ)によって音が悪くなったと感じる人は多いようです。
ただし試聴する限り悪くなったとも感じないので、この時点での結論としては「音楽を楽しむ分にはどちらでもよい」というところになります。
あえて選ぶなら好みは旧版です。
ところで、リマスター版のブックレットの表紙はいかがなものかと。
右がリマスター版のブックレットです。

画像データが無かったので現物をスキャンしたのでしょうが、もう少し程度の良いものは無かったのかと。
変色してますよ?
明らかに帯があったと思われる部分と日焼けした部分に分かれています。
さらに中のページも全体的にぼやけています。
ブックレットもリマスタリングしていただきたかった。
コンプレッサは悪なのか?
その後もいろいろと気になってコンプレッサについて調べてみました。
で、まずはこの記事
http://www.kanaimaru.sakura.ne.jp/AVQA/q5002.htm
(元ソニー技術者である、かないまる氏(故人)の記事です。)
あまり強くコンプをかけるとオーディオ的には音質が劣化するよということで。
上記サイトと同じソフトウェア「Audacity」を使って前回と同じく、笠原弘子さんの「未来派LOVERS」の波形を表示してみました。
3分半の曲全体を一画面で表示しています。
そのため密度間が高くなっています。
旧版 笠原弘子 未来派LOVERS

リマスター版 笠原弘子 未来派LOVERS

これくらい密度感が違うとリマスター版の方が音圧が高いことが分かりますね。
先のかないまる氏のサイトにクリップ(クリッピング)という言葉が出てくるので、「Audacity」でクリッピング表示をしてみます。
クリッピングと言うのは音声レベルが上限を超えてしまっていて、音割れや音声の歪みの原因となりえるものと言えば良いのでしょうか。
これは僕の解釈なので詳しくはググってください。
旧版 笠原弘子 未来派LOVERS

リマスター版 笠原弘子 未来派LOVERS

赤い線がクリッピングが発生している箇所です。
旧版にはほとんど見られませんが、リマスター版は結構な勢いで赤くなっています。
ただし、1曲分を1画面で表示しているため真っ赤に見えますが、波形を拡大していくとそんなに連続して発生しているわけではないようです。
まあ、それでも新旧の差は歴然です。
コンプレッサは「悪」か?
コンプレッサは音質劣化を招くため、オーディオ好きからは敬遠される傾向にあるようです。
僕も理屈で考えるとあまり良いとは思いませんが、曲によっては必要だと感じることも確かです。
音質よりも迫力を重視してあった方が楽しく聴ける曲もあるからです。
そして以下のサイトを読むと。
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20071112/dal303.htm
http://www.phileweb.com/review/article/201403/07/1110.html
CDは16ビット/44.1KHzという制限があるため、よりよい音にするためにコンプレッサを使うことも必要なんだそうです。
表現として使う場合もあるようですし。
「スローガラスの輝き」でも、リマスター版の方が情報量が多い(より多くの音が聞こえる)ような感じを受けるので、「限られた中でより良い音を目指す」という意志の結果だと思います。
結局は作り手と聞き手の好みが合うこと。
何が良くて、何が悪いでは無いということ。
ありきたりな結論たけど「自分の好みに合うものを選ぶことが大切なんだ」ということですね。
変なこだわりで記事自体も変な方向に進んでしまいましたが、一番大切なことは「笠原弘子さんのアルバム『スローガラスの輝き』は名盤であるということ」
声を大にして言いたい。
ご清聴ありがとうございました。
あとがき
2026年現在、CDを直接再生するようなことは無くなりました。
AVアンプにも音楽ファイルを再生する機能が付いているので、USBメモリを用意するだけでプレーヤーすら用意する必要がありません。
パイオニア PD-HL1のターンテーブルにCDを載せるあのひと手間…今となっては懐かしい限りです。
スローガラスの輝きはストリーミングやダウンロード販売はされていないのですね。
CDも永遠のメディアではないですし。
このまま失われていくのはとても残念です。
ワーナーミュージック・ジャパンさん、思い切って旧版の音源で発売してみませんか?



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