太陽光発電設備の減価償却費の計算方法【確定申告】

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確定申告で太陽光発電による収入を申告するためには『減価償却費』をもとめる必要があります。

減価償却費の計算方法はネットを検索するとたくさん見つかるけど、情報が多すぎて実際のところ、どのようにしたらよいのか分からないこともあります。

そこで、この記事では必要最小限の情報のみとすること、正確性を期すために引用先は国税庁などの公的な機関のサイトを極力使用することに心がけます。

まず、情報を絞り込むために以下のような条件付けをします。

自宅の屋根に取り付けた、小規模な太陽光発電システムを想定した減価償却をだけを考えます。

【条件】

  • オーナー:サラリーマン
  • 設置場所:自宅屋根
  • システム容量:5.6kW
  • 年間総発電量:6000kWh
  • 余剰電力買取
  • 減価償却費の算定方法「定額法」

 

定額法での計算式は以下のようになります。

取得費 = 購入費-補助金等
減価償却費 = 取得費 × 0.059 × 償却月数 ÷ 12

0.059は償却率です。

この式を見ただけでは理解できなかったので、計算に必要な情報をひとつずつ集めていくことにしました。

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太陽光発電設備の耐用年数について

減価償却費の計算に利用する「償却率」を得るために、まずは太陽光発電設備の耐用年数を調べる必要があります。

 

給与所得者が自宅に太陽光発電を設置して、余剰電力を電力会社に売却しているときの「所得区分」と「減価償却費の計算方法」について書かれている以下の記事から情報を得ました。

参考 自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入|所得税目次一覧|国税庁

給与所得者が太陽光発電設備を家事用資産として使用し、その余剰電力を売却しているような場合には、雑所得に該当します。

 

減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第二の「55 前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」の「その他の設備」の「主として金属製のもの」に該当し、17年となります。

 

必要経費に算入する減価償却費の額は、発電量のうちに売却した電力量の占める割合を業務用割合として計算した金額となります。

この記事から三つのことが分かりました。

A.余剰電力売却による収入は「雑所得」扱いである。
B.太陽光発電設備の耐用年数は17年である。
C.経費に計上できる減価償却費は、総発電量に対する売電が占める割合のみである。

 

償却率について

太陽光発電設備の耐用年数が分かったので、次は17年の場合の償却率を調べます。

参考 減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第八

別表第八 平成十九年四月一日以後に取得をされた減価償却資産の定額法の償却率表』から耐用年数17年の償却率は0.059ということが分かります。

D.耐用年数17年の償却率は0.059である。

 

減価償却費の計算方法ついて

参考 No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)

計算例が掲載されていて、とても分かりやすい記事です。この計算例をもとに、あとで太陽光発電設備に当てはめた計算例を掲載します。

平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産については償却可能限度額及び残存価額が廃止され、1円まで償却することとされました。

E.1円まで償却する。

いろんなサイトに1年間(12ヶ月)の減価償却費の計算方法が掲載されているけど、最後の年に1円残すということが書いていなかったりします。

減価償却の仕組みを知っていれば当たり前のことなのかもしれないけど、知らなかったら「最後の年どうしたらいいんだ?」ってなりますよね。

減価償却費の端数処理

減価償却費の計算で小数点以下の端数の取扱いについて書かれています。

参考 減価償却費の端数処理

平成19年分以降の作成コーナーでは、減価償却費の計算で小数点以下の端数が生じた場合、切り上げ処理を行っています。

F.小数点以下切り上げ。

 

減価償却費の計算例

これまで調べてきたルールにしたがって減価償却費を計算します。

以下が分かったルールです。

A.余剰電力売却による収入は「雑所得」扱いである。
B.太陽光発電設備の耐用年数は17年である。
C.経費に計上できる減価償却費は、総発電量に対する売電が占める割合のみである。
D.耐用年数17年の償却率は0.059である。
E.1円まで償却する。
F.小数点以下切り上げ。

ここでの計算に関係するのはD,E,Fです。

 

太陽光発電設備の情報

購入費2,558,000
補助金等325,200
※取得費=購入費-補助金等 
取得費2,232,800
償却率0.059

 

【計算式】

取得費 x 償却率 = 減価償却費

2232800 x 0.059 = 131735.2

【少数以下切り上げ】

減価償却費:131,736円

 

1年の減価償却費が計算できました。

131,736円を17年間に割り振っていきます。

 償却費未償却残高
  2,232,800
1年131,7362,101,064
2年131,7361,969,328
3年131,7361,837,592
4年131,7361,705,856
5年131,7361,574,120
6年131,7361,442,384
7年131,7361,310,648
8年131,7361,178,912
9年131,7361,047,176
10年131,736915,440
11年131,736783,704
12年131,736651,968
13年131,736520,232
14年131,736388,496
15年131,736256,760
16年131,736125,024
17年125,0231

17年目の償却費は前年の未償却残高から1円を差し引いた額です。そして、最後の未償却残高は1円となります。

上記は1月に設置したものとして、償却月数は初年度から12ヶ月で計算しています。

でも、実際は都合よく1月設置とはいかないものです。我が家の場合は7月でした。

ということで7月に設置したときの減価償却費の計算もしてみましょう。

7月に太陽光発電設備を設置した場合の計算例

7月設置ということは、7,8,9,10,11,12月の計6ヶ月が償却月数となります。

初年度の減価償却費の計算は次のように行います。

【計算式】

取得費 x 償却率 x( 6 ÷ 12 )= 減価償却費

2232800 x 0.059 x( 6 ÷ 12 )= 65867.6

【少数以下切り上げ】

初年度の減価償却費:65,868円

初年度、6ヶ月分の減価償却費は65,868円となりました。

ということで表の1年目は65,868円です。

 償却費未償却残高償却月数
  2,232,800 
1年65,8682,166,9326
2年131,7362,035,19612
3年131,7361,903,46012
4年131,7361,771,72412
5年131,7361,639,98812
6年131,7361,508,25212
7年131,7361,376,51612
8年131,7361,244,78012
9年131,7361,113,04412
10年131,736981,30812
11年131,736849,57212
12年131,736717,83612
13年131,736586,10012
14年131,736454,36412
15年131,736322,62812
16年131,736190,89212
17年131,73659,15612
18年59,15516

18年目は残った6ヶ月分の償却をします。1円を残すのは同じです。

 

↓簡単に計算できるサイトがありました。

参考 減価償却(H24年度~) – 高精度計算サイト

 

ここまでで、減価償却費の計算は終了です。

でも、確定申告で太陽光発電の収入を申告するには、もう少し計算が必要です。

太陽光発電設備の売電収入の申告について

減価償却費の計算からは外れますが、売電収入を申告するために必要なことがらです。

A.余剰電力売却による収入は「雑所得」扱いである。
B.太陽光発電設備の耐用年数は17年である。
C.経費に計上できる減価償却費は、総発電量に対する売電が占める割合のみである。
D.耐用年数17年の償却率は0.059である。
E.1円まで償却する。
F.小数点以下切り上げ。

ここではAとCが係わってきます。余剰電力買取の場合は、減価償却費のすべてを経費扱いにすることはできません。Cの内容を考慮する必要があります。

 

この件に関しては以下の記事に書いてあります。

関連記事 サラリーマンブロガーの確定申告『給与とアフィリエイトと太陽光発電』

 

 

 

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